2017年1月30日月曜日

カモ3羽

風が強かったから,水面にはカモがいなかなった。

竹やぶがざわざわしている。
わずかな足音でもカモは気づいちゃうから,
逆に足音がバレないからちょうどいい。

竹やぶに隠れて様子をうかがっていたら,
水面に倒れた竹に寄り添うようにコガモ♂が見えた。

もう至近距離なので外しようもない。
残っていたラストの3号弾で1発。
5号弾にしとけばよかったかな。

コガモ×1


初めてカルガモを仕留めたエリアに移動。
ヨシの切れ間につがいのカモが見え隠れしている。
あの地味〜な色は・・・ヨシガモかな。

アンブッシュしながらチャンスを狙う。
5号弾をぶっぱなすと,1羽がひっくり返った。

つがいのもう1羽は逃げて行った。
追い矢を撃ってもよかったけど,
当たったほうのカモの様子を目で追う。

ヨシに隠れてよく見えない。
待っていると泳ぎ方のおかしなカモが下流に向けて泳いでいく。
絶命してないッ・・・追い矢を撃ちこむと完全にひっくり返って
首を水面下につっこんだままもがいている。
そのまま流れて,対岸の「コの字」型のコンクリに引っかかっている。

すぐに銃をソフトケースにしまって,対岸に走った。
枯れたヨシをかきわけてゲット。
その場で毛をむしった。

ヨシガモ×1


川を離れ,野池に移動。
バイクで乗りつけ,茂みに身を隠す。
こっそり水面をのぞくとヒドリガモが3羽泳いでいる。

ダックコールを吹くも,池の真ん中で浮かんでいる。
うーん,ここで仕留めても回収できないなぁ・・。
RCボートも持ってきてないしなぁ。

悩んでいると,風が吹いてきた。
これは!?

風が味方した。

1発撃ち込む。
1羽だけが残り,あとのカモは飛び立ってしまった。
でも,残ったカモはひっくり返ることもなく,平然としている。

やっぱり5号弾は弱いなぁ。
逃げないうちに追い矢。
頭に当たったらしく,パタリと倒れた。


風向きだけ確認して,別の池に移動。
マガモのオスがいたけど,逃げられちゃった。
あぁ,青首獲りたいなぁ。

戻って来るとじわじわ近づいてきていた。
岸壁に長い木の枝が置いてあったので使わせてもらった。
誰かが回収用においてたのかな。


ヒドリガモ×1

2017年1月29日日曜日

猟銃による暴発事故発生

1月21日夜、徳島県徳島市国府町竜王で、60歳代男性が自宅でライフルを操作中に、
誤射したため、県営住宅の窓ガラスが割れるという事件が発生した。

けが人はいなかった。


同日午後7時50分頃、同県営住宅の住人から警察に通報があり発覚した。


男性は、警察の調べに対し、

「自宅でライフル銃を操作していたら、誤って発砲してしまった」

と話している。


男性は狩猟のため、ライフル銃の所持許可を受けていた。
警察は銃刀法違反の容疑で、任意で取り調べをすすめる方針。


ライフル弾は殺傷能力が高く、流れ弾とはいえ、
当たれば死亡か重症は免れなかっただけに、
ひやひやものの事件である。

こういった猟銃事故が起こるたびに、
我々、猟銃所持者の肩身が狭くなるばかりである・・・。

2017年1月25日水曜日

鴨猟

いつも行く小川の,橋の下でコガモが4羽ほど泳いでいた。
あぜ道をゆっくり忍び寄り,座射でかまえる。

まったく気づいてないのかゆうゆうと泳ぐコガモ。
1発で2羽をしとめた。

つがいだったみたい。
その場で腹の羽毛を抜いて腸を抜いた。



同じ川の別のポイントへ移動。
ここはカルガモ,ヒドリガモが多い。
コガモは小さいから,次は肉の大きなカルガモがほしい。

カルガモはぼくの気配を察したのか,反対へ泳いで行く。
枯れ草の陰に隠れ少し待つと,泳いで戻ってきた。
よっほどいい餌場なのか。

カルガモのスクールを狙って座射。
1匹がひっくり返り足を上にしてもがく。

まわりのカモは一斉に飛び立ったが,
すぐに戻ってきて,同じポイントに着水。

え?
1発しかシェルこめてないんだけど・・・

次のシェルを探しているうちに,
仕留めたカルガモが暴れ出したため,
それにびっくりしたヒドリガモたちは再び飛翔・・・。


やっぱりカルガモはでかいなぁ。
下にちょろっと映っているのが,銃のソフトケース。


コガモとカルガモのハツ・スナギモの大きさ比較。



カルガモ解体
手羽元・モモ//ムネ肉

さばくごとに包丁さばき上達しているのが嬉しい。

2017年1月24日火曜日

カモ猟成果と網猟の可能性

1/4から現在までのカモ猟5回のうち、
捕獲できたカモの種類は以下のとおり

マガモ×2
カルガモ×1
コガモ×1
ヒドリガモ×1
ヨシガモ×1

コンスタントにいろんな種類の陸ガモがとれている。

カモの捕獲上限が、1日あたりカモ類の合計が5羽
となっていることから考えると少ないけど、
今のところボウズはないから、よしとしよう。

第一種銃猟でカモを狙っているわけだけど、
やはり気になるのは、猟場の近くに民家があるかどうか。

銃猟禁止区域に指定されていなくても、
「人家稠密の場所」にあたればAUTだし、
稠密じゃなくても池のド真ん前に人家があれば、撃つ勇気はない。


平成27年の狩猟事故にこんなのがある。

徳島県において、キジの有害鳥獣駆除中に、

42m離れた地点で釣りをしていた者が、

散弾銃の発砲音により耳が痛くなったと診断書を提出。

これも因果関係を認められれば、狩猟事故になるのである。
ことによると狩猟免許・銃砲所持許可取り消し事案である。

ハンターの立場からいえば、完全にとばっちりであるが、
広い世の中には現実にこういう人もいる
ということを知っておかなければならない。

なんてことを考えつつ狩猟をしていると、
僕なんかは、静穏を保持しつつ、
効率的に捕獲ができる猟はできないかと考えだすのである。

そういえば、狩猟免許の試験を受けるときに、
150人のうち3人しか受けていなかった網猟というのがあるではないか。

網猟なら発砲音もなくて静かだし、わな猟と違って鳥が獲れる。
しかしながら、網猟は従事人口が圧倒的に少ないのである。

インターネット全盛のこの時代に、検索しても情報はあまりない。
大日本猟友会が作っている『狩猟読本』に書いてあるのと同じ内容か、
「伝統猟法」として骨董品扱いで紹介されている記事がちらほらあるだけ。

網猟で使用できるのは、無双網、はり網、つき網、なげ網の4種類。
狩猟読本で図を見ると、力学的に無駄の多い構造をしていて、
時代遅れ感が半端ない。

もしも、法定猟具の範囲内でもっと改良された網を
つくれたら素晴らしいことだろう。

あまりにも携わっているひとが少ないので、
発展してこなかった網猟の分野にはまだまだ研究の余地がありそうだ。

<つづく>

狩猟用手袋2

このブログで意外にも「狩猟用手袋」へのアクセスが多くてびっくりしている。
狩猟を始める前には、ホームセンターで安く買える迷彩の手袋を推薦していたが、
実際に狩猟を始めてから愛用している手袋はこれではない。

服部文祥が名著『サバイバル登山』のなかで推薦していた
モンベルのレザーグローブである。



定価4500円と少々値は上がるが、そう高いものでもない。

本革とメッシュの組み合わせだから、
使っているうちに手の形にしっくりとなじんでくるし、
蒸れたり、寒かったり、破れたりすることもない。

多少の水濡れなら気にしなくてもいいみたいだし、気軽に使っている。
散弾銃の木のストックとの相性もいいみたいで、
いまのところ滑ることもなく大変満足している。

2017年1月20日金曜日

カモ猟と鳥インフルエンザの関係は?

日本各地でニワトリに対する鳥インフルエンザの発症が確認され、問題になっている。
また同時期に、死亡した(カモ類を含む)野鳥を調査したところ、
鳥インフルエンザの感染が確認されている。

モニタの前でカモ肉をほおばっているハンターの皆様にはぜひ読んでいただきたい。
できればツイートとか、Facebookでシェアしてほしいところである。

【病原体】
A型インフルエンザ(H7N9型)
A型インフルエンザ(H5N1型)

【鳥インフルエンザの流行時期】
冬季に流行し、1~2月が最盛期

【自然宿主】
水棲のカモ類(!)

【潜伏期間】
H7N9型→1~10日(多くは2~5日)
H5N1型→2~8日

【症状】
ヒト型インフルエンザと同様に、
高熱、急性呼吸器症状(鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、発熱、悪寒のうち2つ以上を呈する状態)、
肺炎が多くみられる。

死亡例は、感染後平均9~10日目に発生。

【ヒトへの感染可能性】
トリからヒトへの直接感染は「極めてまれ」と考えられている。
感染した家禽、その排泄物、臓器、死体に濃厚接触することにより、
「まれに」感染することがある。

過去に感染したヒトは、鳥インフルエンザとヒトインフルエンザ両方に
対応するレセプターを有していた。(極めてまれな例である)

また、ヒト型インフルエンザと鳥インフルエンザが混じり合い、
ヒトに感染する病原体へ変異する可能性も考えられる。

【高病原性鳥インフルエンザとの違い】
鳥インフルエンザの病原体が、家禽の間で感染を繰り返すうちに、
ニワトリ、ウズラ、七面鳥などの家禽を高率で死亡させる病原体、
すなわち高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)へ変異することがある。

【感染予防対策】

加熱・・・加熱(70℃以上)により病原体の感染力は無くなる。
消毒殺菌薬・・・ハイター、ミルトンなどの次亜塩素酸ナトリウム液、
          せっけん、エタノール製剤が有効。


※結論※

鳥インフルエンザに感染したカモをさばくと、感染するリスクがある。
カモ肉は、ピンク色の部分がなくなる(中心部を含め70℃以上)まで加熱し、
調理器具は、次亜塩素酸ナトリウム、アルコール、せっけんのいずれかで洗う。


※参考※

厚生労働省HP

環境省HP

農林水産省HP

国立感染研究所HP

2017年1月16日月曜日

ヌートリア駆除

初の四足である。

カモを狙っている川でヌートリアが泳いでいた。
ヌートリアとは、岡山県に特に多い水棲のネズミである。

外来生物で日本の農業に被害を与えている動物なので、
市町村によっては駆除に補助金を出しているほどである。

ゆうゆうと水面を泳いでいるので、土手の法面から3号で発砲。
ヒットしてもなお暴れているので、
できるかぎりの至近距離で撃ちこんだら息絶えた。

陸に引き上げてみて驚いた。
でかすぎる。


食べようかと思ったけど、足の水かきを見て食欲が失せた。
あと、顔がまじデビル・・・



2017年1月15日日曜日

カルガモ

~岡山県某市~
規模としては農業用水に近い小さな川。
散弾銃を抱えほふく前進中のぼくです。

何をしているかというと、カモを狙っています。
カルガモが4羽泳いでいます。

きょうはスクーターの流しでカモ猟に来ていたのです。
池を探していたのですが、偶然よさそうな川を見つけました。
川沿いにバイクを走らせていると、カモがいるではありませんか。

周囲を確認、田んぼに囲まれていて、近隣に人家はさほどない。
銃猟禁止区域でもない。

スクーターから降りて、銃をソフトケースからとりだします。
鳥は目がいいので、気づかれるとすぐ逃げられるので要注意です。

というわけで川沿いの土手道をほふく前進中です。
照星と中間照星を慎重に合わせます。
一直線上にはカルガモが・・・


俺のフジスーパーオートが火を噴くぜ!

数秒後には水面で1匹がひっくり返りもがいています。
残りのカモは飛びたっていきました。

走って土手から降ります。
枯れたヨシのせいで苦戦しますが、水際まで来ました。

流れがゆっくりなので、カモは浮いたままです。
枯れたヨシを折って、カモを引き寄せます。

つかみあげると少し重いです。
大物のカルガモのようです。


重さをはかればよかったのですが、
妻に「家に帰ってくる前に羽毛はむしっといて」とくぎを刺されたので、
現場で丸鶏状態にしてしまったのです。

さばいたら砂肝が異様に大きく、このまえのマガモの2倍はありました。
砂肝の内容物を見ると、エサは「しじみ」を食っていました。

カルガモは渡りをしない留鳥なので、比較的脂がのっているようです。

3匹目ともなると、さばく技術をマスターしました。
解体をすればするほどうまくなるもんですね。
どういう構造をしているのか頭にはいってくると、
おのずとさばきかたも分かるってもんです。

半身は職場の後輩にあげました。
この子はジビエにも抵抗がないみたいで、あげるほうもうれしいです。
自分で料理をする子なので、レシピだけ教えておきました。
「弾が出てきた」と報告があり、喜んで食べてくれたようでした。

2017年1月12日木曜日

ヒドリガモを食す!

いっとくけどぼくのフジスーパーオートはインプシリンダーチョークである。
絞りがほとんどないから散弾は、かなり散開する。

鴨撃ちにはあまり適さない銃身ということになる。
どちらかというとスラッグ弾でシカやイノシシを撃つための銃である。

猟を始めて以来、とったのはカモばかり。
2匹目はヒドリガモだった。



ハンターに人気がないためか、見回る池で目につくのはヒドリガモばかり。
「ヒドリガモ」でググると、「ヒドリガモ 味」とか「ヒドリガモ まずい」とかでてくる始末。

しかし、撃ってしまったものは食さないわけにもいかまい。

ムネ肉を最適な方法で調理すべく、孤独のジビエを参考にした。
やはりカモのロースト、これ以外にあるまい。

皮から焼いて、でてきた脂はうまみ成分があるので、
バルサミコ酢+赤ワイン+しょうゆをベースにしたソースの材料にした。


うますぎる(涙)
バルサミコ酢の香りがフランス料理感を倍増させている!!


2017年1月6日金曜日

カモの調理

カモの調理は初めての経験だった。

毛のむしり方は、山賊ダイアリー、さばき方は、孤独のジビエをみながらやった。
ベランダで羽毛をむしったが、指が疲れて、握力がなくなった。

毛をむしると鳥から肉にかわった。
みるからにうまそうである。



鳥獣の解体はやみくもに肉を切るんじゃなくて、
肉塊と肉塊の境を断ち切るのだ。
部位ごとに筋や膜や骨でつながっているだけなので、
これを断ち切れば部位ごとに綺麗に分かれてくれる。

とはいっても、言うのとやるのでは全然違う。

ガラとムネ肉、ササミ、モモ肉、ハツ、スナズリ、レバー、
よくわからん肝、その他の肉、に分解した。


後輩にLINEすると鴨鍋がいいというので、
ネギと春菊で鴨鍋を作った。
ガラでだしを取り、ムネとモモをスライスして投入した。

少し煮込みすぎたせいか、汁がにごってしまった。

スナズリは栗のように硬かった。
出刃でさっくり割って硬い部分を切除したのち、適宜切り分けた。
ハツとスナズリは竹串にさして、魚焼きグリルで焼き鳥にすることにした。

焼き鳥は案外うまかった。
市場に流通しているニワトリとも違って、少し野性味がある。

カモの内臓(モツ)を味わえるのは、獲ったものだけの特権だと思う。

  

ワイルドな味である。 

初カモはマガモ!

狩猟免許と散弾銃の許可を取って最初の猟期であるにもかかわらず、
まともに出猟することができずイライラと不安がつのっていた1月。

わずかな合間を見つけてカモ猟に出た。

昨年秋に引っ越しをしてからというもの、
「居住の市内にはほぼ狩猟可能な区域がない」ことが判明した。

散弾銃で猟をすることができない区域、つまり禁猟区には、
おもに鳥獣保護区、特定猟具禁止区域(銃)があり、
ここでは鉄砲で猟をすることができない。

すなわち鉄砲をつかう鳥猟や、わな猟における「とめ刺し」ができないということだ。

それ以外にも定義のあいまいな「人家稠密の場所」という禁猟場所(エリア)がある。

要は、近くに家がある場所は鉄砲を使う猟はダメだよということ。
最高裁の判例では、「半径200m以内に人家が10軒以上存在する場所」
が禁止場所と判断された。

岡山県南部の野池、河川はまず「人家稠密の場所」に該当してしまう。

というのも人類の発展は河川とともにあったからだ。
エジプト文明とナイル川、メソポタミア文明とチグリス川・ユーフラテス川、
中国文明と黄河・長江の例を見るまでもなく、人間は川のそばに田畑や家をつくり、
川沿いに発展していったのである。

主要な川を遡上していっても、まず川沿いに住宅街や町がある。
どうみても200m以内に人家が10軒以上ある・・・。

やっと家がないところにきたと思ったら、両岸が切り立っていて
川に降りられない場所だったり、早瀬になっていてカモすら泳いでいなかったり、
なのである。

狙うは山里離れた野池しかない。

ところが引っ越してきたばかりなので、どうも土地勘がない。
これでは池を探すだけで猟期が終わってしまう。
なんのために高い税金と諸経費を払っているのかわからない。

そこで以前住んでいた県北某所の野池を回ることにした。
ここはバイクでぐるぐる走り回っていたところだから、土地勘もあるし、
散弾銃の空薬きょうが何個も落ちていた(ダートだけど道に落ちていたぞ・・・)から
カモがついているのはまず間違いない。

午後11時に家を出発し、ついたのは午後になってから。
車から降り、銃の準備をしてそろそろと近づいてみるとカワウが数羽飛び去って行った。
あれ、カモいない・・・とがっかりしていると、

雑木林にかくれるように、水面にカモ発見!

しかし、ぼくの姿を見つけたのか、すぐに飛んでしまった。
ここはダートとはいえ道なので発砲は違法。
撃ちたい気持ちをおさえて、雑木林のほうへ歩みを進める。

ところどころでカモの飛び立つのが見える。
池が見渡せる岸辺に降りると、すぐさまフジスーパーオートに実包3発を装填。

バサバサバサ!

カモが4~5羽飛び立ち、右から左へ飛んでいく。
照星をあわせ引き金を引く。

ボォーン!

飛んでいく群れのうち1羽がもつれ、水面に落ちた。

おぉ!当たった!!!

クレー射撃ではぜんぜん当たらず悔しい思いをしてきただけに、
これはうれしかった。

水面に落ちたカモはオレンジ色の足を水上に出して、もがいている。
オレンジの足・・・もしかしてマガモか!

カモは天地ひっくりかえったままもがいていたが、
首は水面に沈めたままなのでしばらくすると息絶えた。

ブッシュを抜け、ダート道に移動したころには水面は静寂を取り戻していた。

さて、どうやって回収するか・・・

もっとも近い岸からしても20メートルは離れている。
カモキャッチは家に忘れてきた。
ボートを買いに行く余裕もない。

・・・泳ぐか。

さいわいスイミングスクールに通っていたので、水泳は得意なほうだ。
衣服がぬれるといけないので、全裸になった。
足を水面につける。

うわあああああああああ寒い冷たいつめたいつめたい!!

呼吸が異常に荒くなっていく。
一歩また一歩と池に身を沈める。

他人が見れば入水自殺のようである。
へそまで沈んタ瞬間覚悟を決め、顔をつけない平泳ぎでカモを目指した。

マッディな深緑の池を進む。
池の主に飲み込まれそうな恐怖感。
中央に近づくほどに不安がぼくをつつみこむ。

過呼吸気味になりながらも、カモに到達。
オレンジ色の足をつかんだ瞬間、グニュリ・・・

うわああああああ気持ち悪っ!!

鳥の足って硬いもんかとおもってたのに、
結構やわらかい・・。

気色悪さを我慢して、カモをレトリーブ。
帰りは疲れにくい背面泳ぎ。
といっても学校で習う背泳ぎではなくて、ぼく独自の背面泳ぎ。
背面に浮いたまま足はバタ足、手は体側でムチのようにしならせて静かに泳ぐ方法。
左手はカモの足とがっちり握手・・・。

弱点は進行方向の状況がよくわからないこと。
疲れたら動きをやめてプカリと浮けば、つど休める。

獲物の羽を広げると、青い翼鏡が見えた!
執念で回収したカモはマガモのメスであった。

『孤独のジビエ』で東雲氏が書いているように、
マガモはカモの中のカモ、まさにカモの王様なのである。

ぼくの体は冷たい水のせいで表皮がビリビリとして紅潮していた。
くつしたで体をぬぐうとすぐ着衣をまとった。

BACK110ナイフでカモの肛門から切れ込みを入れ、
そのへんに落ちている枝で腸を取り出した。

鳥は腸だけは取っておかないとすぐ傷んでしまうらしいのだ。

出血個所は、肛門のほかには目の一点のみだった。
はからずとも「ヘッドショット」となったようだ。

可食部位への損傷がないのは良いことだ。

とりあえずiPhoneで記念撮影をして撤収した。
ほかにも池を回る予定であったが、また池を泳ぐことになると考えると気が進まなかった。
それよりもはやくカモを調理したかったので、家に帰った。